特集 志望校はこう選ばれている

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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高校新卒者、センター志願、高校再編を独自に分析

 募集戦略の策定にあたり、近畿地区の受験動向を2002年と2006年とで比較し、独自に分析した。
 私立大学志願者の動向にも大きな影響を与える現役生のセンター試験志願者の減少率は、全国的には高校新卒者の減少率ほど大きくない(図1)。しかし、近畿地区に絞ると、2006年の新卒者の数は、対2002年比で全国平均より0.9ポイント低い上に、2006年のセンター試験志願率が全国平均より2.0ポイント低くなっている。2002年の1.2ポイント差から広がった。

図表

 近畿地区の府県別では、2002年に対する2006年の新卒者数の割合が、全国平均の89.6%を上回ったのは和歌山、奈良、滋賀だった。近畿全体の新卒者の66%を占める大阪、兵庫は、それぞれ88.4%、88.6%と全国平均を下回り、これが近畿全体に大きく影響している。また、大阪のセンター試験志願率は29.4%と、全国平均36.2%を大きく下回り、東京の42.4%と比べると10ポイント以上の開きがある。
 これら新卒者数とセンター試験志願者の動向に加え、近畿地区の高校再編の動きも追った。今後の志願者確保に影響を与えるからだ。例えば、大阪は、普通科の通学区域を2007年度に9学区から4学区に再編する。学区ごとに有力公立校があるが、再編で高校選択の幅が拡大し、難易度が大きく変動することも予想される。和歌山、滋賀は既に全県一区となっており、難易度の変動に注目している。
 近畿地区は、国公立志向が極めて強い地区である。首都圏は東京大、一橋大、東京工大の国立大学で、次に慶應大、早稲田大、上智大、MARCHと私立大学が志望校候補として挙がってくる。ところが、近畿地区は、京大、阪大、神戸大……と国公立が一通り挙がり、その次に関関同立、龍甲産近(産近甲龍)という志望校選択基準が、進路指導、生徒、保護者の間で数十年間変化することなく続いている。


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