特集 志望校はこう選ばれている

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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3つのポイントで重点エリアを掘り起こし

 独自の分析も踏まえ、龍谷大学は、重点エリアである近畿地区での新たな募集戦略として、3つのポイントを定めた。
1.京都、滋賀でのPRの強化
2.大阪南部地区での志願者の掘り起こし
3.理工学部の認知度アップ
 以下、具体的な取り組みを説明する。

1.京都、滋賀でのPRの強化
 2006年度入試では、2002年度と比べ、現役生のセンター試験志願率が京都では2.7ポイント、滋賀で3.7ポイントアップしたにも関わらず、本学への志願率はいずれも7ポイント低下していた。ただでさえ、国公立志向が年々強まっている中、地元での志願者減に早く手を打たないと大きなダメージにつながる。地元での優位性なくして、安定した志願者確保はあり得ない。
 そこで、京都と滋賀でオープンキャンパス以外に、受験生対象のデリバリーキャンパス(出前入試対策講座)や、高校教員対象の入試説明会などのイベントを開催している。一人でも多くの地元の高校生に、龍谷大学に興味・関心を持ってもらえるよう努めている。

2.大阪南部地区での志願者の掘り起こし
 龍谷大学では大阪からの志願者が最も多く、特に京都に近い大阪北部が多い。一方、大阪南部の高校を訪問すると、京都・滋賀にある本学は通学圏として捉えられていないことが分かった。
 そこで、京都・滋賀にある大学の中でも最もアクセスが良いという特徴を、大阪南部で積極的にPRし、潜在的な志願者の掘り起こしを行うことにした。大学案内やイベントの告知でも、ロケーションと交通アクセスに関する情報を詳しく提供し、「自宅から通学できる大学」として印象づけることを心がけている。

3.理工学部の認知度アップ
 設置してから18年たっても、地元ではいまだに認知度が低い理工学部を知ってもらうために、冊子、オープンキャンパス、ウェブサイトの3本柱で広報を展開している。
 「もっと知って欲しい!龍谷大学理工学部」(28ページ図2A)は、ある高校の進路指導部長に「理工学部の各学科の研究内容が詳しく分かるものはないのか」と聞かれたのをきっかけに、作製した冊子だ。早速、その高校に持参したところ、教員にも高校生にも好評だった。今も継続して作製し、オープンキャンパス等で高校生や保護者に配布している。
 オープンキャンパスでは教員や学部生、大学院生の協力を得て研究室を公開。2006年度からはウェブサイトで研究内容や学生の声を紹介し、実習風景は動画で配信している。
 「龍谷大学は文系の大学」というイメージを変えることは容易ではない。しかし、これらの取り組みを通じて、理工学部の認知度がアップしてきたと実感している。


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