特集 志望校はこう選ばれている

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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伝えたいことよりも相手が知りたいことを話す

 高校訪問に対して「無駄である」「広報としての効果がない」「説明会に参加する方がよい」など、不要論をよく聞く。本当にそうだろうか。
 高校訪問は、大学側の一方的な情報伝達の場ではない。大学や学部について一方的に説明するだけでは、高校教員の信頼を得られず、情報が生徒に伝わることなど期待できない。
 双方向のコミュニケーション、つまり「2way」を心がけ、自分の大学の話より、高校教員が聞きたい話題について語ることが重要だ。途中でさりげなく、大学の特徴などを盛り込むことができれば上出来だろう。私自身、話すことは、当該エリア以外の高校の進路指導体制、大学の経営や審議会答申に対する疑問など、募集とは直接関係のない内容ばかりだ。しかし、何度も足を運ぶうちに、本学についての質問も出るようになり、信頼関係が築かれていく。
 高校訪問における最重要ポイントは、「クライアントニーズの具現化」だ。高校から出される様々な要望を持ち帰って検討し、高校に回答するということを基本としている。本学では、1〜2ヵ月に1度、高校訪問の状況やそこで挙がった要望を、入試に関する委員会で必ず報告している。そして、高校側には「先生方の要望を検討した結果、このような入試制度を設けることになりました」などと報告する。
 高校の声にきちんと耳を傾ける姿勢が伝われば、信頼が得られ、大学の情報にも関心を持ってもらえるはずだ。このようなコミュニケーションは、高校訪問だからこそできるのではないだろうか。広報担当者が、大学改革のPDCAサイクルにおいて重要な役割を担っていることも指摘しておきたい。


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