広報活動の担い手は一人ひとりの職員であり、各部署の主体的な判断で展開されるものだ。一方で、広報活動は組織全体の経営方針と切り離すことはできない。また、各部局のトップがリーダーシップを発揮して、率先垂範することも求められる。
　このため、2006年３月に、広報活動の基本方針を決定する場として、局長級の広報戦略会議を設置。下部組織に各部局の企画官・課長補佐級の広報担当官会議も設けた。
　広報戦略会議は、前述の調査結果を踏まえ、５月に対応方針や日常業務で職員が心がけるべき行動指針等をまとめた「平成１８年度広報基本方針−改行宣言2006−」（注１）を決定した。ここでは３つの課題が掲げられている。

（1）現場の声を聞き、現場の実態を知った上で施策立案するといった、現場感覚を大切にする姿勢が不十分
（2）調査、実証に基づく施策立案や、見解を明確に示して議論を喚起する取り組みが不足している
（3）情報発信に工夫がなく、国民に十分に伝わっていない

　これらの解決のため、職員の行動指針として「現場の声を聞きます」「見解を明確に示します」「効果的な情報発信をします」の３点を挙げている。活動の柱には、「広報活動環境の整備と職員の広報スキル強化」がある。本省のウェブサイトに省としての見解を速やかに表明するコーナーを設置するなど、改善を図った。
　「改行宣言」に基づく取り組みは始まったばかりであり、職員の意識改革や実践は今後の課題だ。現在、広報室や広報担当官会議では、省内に現場主義を浸透させるための具体的な仕組みを検討している。組織の一体感を醸成する方法、「目指すべき組織像」等の議論も続く。