つなぐ 高校・大学 第2回 奨学金は学びを支援する制度として大学選択の要因になっているか

河村泰親

愛知県立五条高校
進路指導主事

河村泰親教諭


愛知県立五条高校

愛知県海部郡の中核を担う進学校。2006年に創立35周年を迎えた。2006年度入試では、国公立大学に208人、私立大学に延べ739人が合格。

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ほかとの違いが分かる情報の発信を

■大学独自の奨学金は充実している?
 経済的に恵まれない生徒が増える中、私立大学の奨学金はかなり充実してきたと思う。特に給付額は魅力的だ。公的なものと合わせて利用することもできるので、適切に利用すれば生徒が受ける恩恵は大きい。
 ただし、奨学金が充実しているからという理由で進学先として勧める指導はしていないし、生徒もそれを望んではいない。自分の行きたい大学、学びたい学問を選ぶ中で、奨学金を利用する方法もあるという選択が望ましい。

■奨学金の情報は十分か?
 奨学金の情報は詳しく調べないと分かりにくい。大学独自の奨学金について調べる際、大学のウェブサイトを見るよりも、受験情報誌の奨学金一覧などを見る生徒が多い。志望校を決め、願書を取り寄せて、初めて知るケースがほとんどだ。
 学費の捻出が難しいという生徒に、独自の奨学金について調べさせることはある。それでも、ほとんどが公的な奨学金制度を利用するというのが実情だ。五条高校では、日本学生支援機構に申請する生徒は数年前の倍に増えているが、独自の奨学金の利用は以前とほとんど変わらない。

■どのような情報提供が望ましいか?
 ウェブサイトのコンテンツの一つとしてある程度でもよい。奨学金情報が必要な生徒がたどり着きやすいように工夫してもらうだけで十分で、ことさら強調する情報ではないと思う。
 ただし、どのような点に注意して奨学金を選べばいいのかといった指導まではできない。ほかの奨学金と比べてどういうメリットがあるのか、分かりやすく示してほしい。

図表


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