東北大学工学部は、女子へのアピールにも力を入れる。機械・知能系の学科の女子学生の比率は、例年入学定員の３〜５％。ほかの旧帝大の機械系に比べると高いが、学内の他学部に比べるとまだまだ低い。「欧米の大学では２〜３割、多い大学では５割を女性が占める現状に比べ、日本の工学部は圧倒的に男社会。定員を確保するだけでなく、多様な資質を持つ学生を増やすためにも、女性を呼び込むことは重要」と、中橋教授は強調する。
　工学部機械系では女子生徒・学生・女性研究者向けのウェブサイト（図２）を設け、女性に広く門戸を開いていることをアピールする。特に充実させているのは、卒業後のキャリア形成に関するコンテンツだ。女子の就職はどうなっているのか、結婚や出産がハンディになることはあるのか……。女性のニーズに対応して「卒業生の就職先リスト」も掲載する。
　「近年は、就職率の高さや資格志向を反映して、理系志望の女子受験生が薬学部や看護学部に流れている。女子の技術職を積極的に採用している企業は多く、就職率では工学部も引けを取らないということをぜひ知ってもらいたい」と中橋教授。キャリアパスに関する不安に明確に応えることによって、「競合」する薬学部や看護学部に向けられがちな女子受験生の視線を引き寄せたい、という思いは強い。