カレッジリンク型シニア住宅の利用者は、神戸市に現在建設中の「アンクラージュ御影」に入居する。2007年度は試行期間として、入居希望者向けの「プレコース」を千里山キャンパスで無料で開設。俳句や映画史、文学や哲学などをテーマにした10講座程度を提供する予定だ。
　本格的なスタートは2008年度。入居者が千里山キャンパスで講義を受ける「オンキャンパス・プログラム」と、アンクラージュ御影で開講する「オンコミュニティ・プログラム」が教育サービスの２本柱だ。
　オンキャンパス・プログラムは、入居者が文学部または大学院文学研究科の科目等履修生、聴講生として一般学生と一緒に講義を受ける。そのほかに、公開講座や講演会、大学主催行事にも参加できる。従来の社会人入試と同様に、面接や研究計画書などの審査を受けて合格すれば、正規の学生として学ぶことも可能だ。入居施設とキャンパスをシャトルバスで結び、片道30分かけて通学してもらう。
　オンコミュニティ・プログラムは、入居施設に教員が赴いて講座や講演を行う。古典文学や美術、日本史などの分野を取り上げる予定だ。「文学部では、実学から最も遠い真善美に関わる世界を扱う。人生経験の豊富なシニア層には必ず興味を持っていただける」と、芝井副学長は自信をのぞかせる。
　オンコミュニティ・プログラムでは、入居者の意見や嗜好を取り入れながら新しい講座を導入し、柔軟にカリキュラムを組み立てる予定だ。文学部以外の教員や学外の講師にも担当してもらう予定。この動きが発展すれば、文学部の取り組みにとどまらず、大学全体に広がる可能性があるという。