大学が、資格取得など専門学校の強みを取り入れながら改革を進める中、専門学校はどうなっているのか。
　東京衛生学園専門学校（大田区）を経営する学校法人後藤学園の後藤修司理事長は、大学も加盟する全国私立リハビリテーション学校連絡協議会の会長、日本看護学校協議会常務理事などを務める。「大学が必ずしも資格取得をゴールにしないのに対し、専門学校では全員に資格を取らせてスタートラインに立たせるという意識が、より強くなった」と話す。
　少人数の中から退学者が出れば経営への影響が大きいため、各校ともミスマッチ入学を防ぎ、退学者を出さないためのケアに力を入れるという。学生同士が日常的に気遣い励まし合う関係がつくれるよう、心理的な距離を縮めるゲームを取り入れる学校もある。
　卒業生に対するフォロー研修や再就職支援をする医療系専門学校は多い。
　大学が専門学校の手法を取り入れて活発化させてきた広報については、情勢が逆転しつつある。東京都専修学校各種学校協会（東専各）の有我明則事務局次長は、「費用対効果を厳密に検証し、お付き合い的な連合広告をやめる学校も増えた」と話す。
　有我事務局次長は、「専門学校の大学化という動きもある」と、2006年度に導入された「高度専門士」制度を説明。修業年限４年以上で、卒業に必要な総授業時数が3400時間以上など、一定の要件を満たす専門学校の修了者に、従来の「専門士」とは異なる「高度専門士」の称号と、大学院入学資格が与えられる。専門学校の教育内容の高度化と修業年限の長期化を適切に評価することが狙いだ。
　初年度に指定された192学科のうち56％にあたる108学科が医療系専門学校で、理学療法士、作業療法士を養成するところが大半。指定を受けた学校の多くが臨床実習を充実させ、「実習と授業を繰り返すことで目的意識を持続できる」などとアピールする。
　看護系では、大学と同様に看護師と保健師の両方の国家試験受験資格を得られる統合カリキュラムを設けている７校が、指定を受けた。