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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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私学事業団「中間まとめ」が、経営者補佐役の必要性を指摘

 日本私立学校振興・共済事業団の学校法人活性化・再生研究会は、文部科学省が考えている「経営困難な学校法人への対応方針」に基づく対応の在り方をより具体的に検討するために設置された。2006年7月には「私立学校の経営革新と経営困難・破綻への対応―中間まとめ―」(以下「中間まとめ」)を公表した。
 その中の「定量的な経営判断指標による破綻予防」では、次のような段階に分けた対応策が検討課題として示された(図2)。

図表

(1)事前の対応――私学事業団が、収容定員充足率をはじめとする定量的な経営判断指標によるモニタリングを定期的に行い、財務的に問題のある学校法人に経営相談などを働きかける。
(2)イエローゾーンの対応――私学事業団が、改善に向けた対処が必要な法人に対する経営分析、改善の指導・助言を行い、一定期間の経過観察。期限内に改善の成果が見られない場合は文科省に報告。同省が経営改善計画の作成を求め、期限を設けて指導・助言。
(3)レッドゾーンの対応――経営状態がさらに悪化し、学生が在学中に経営破綻する恐れのある状態に陥った学校法人に対し、私学助成・融資の停止、学生募集停止の促進や命令。
 大学の経営破綻防止における人的資源の重要性に関し、「中間まとめ」は次の指摘をしている。「優秀な教職員を確保し、人材の育成も図りながら、安定的に確保することは私立学校にとってとりわけ重要な課題であり、優れた教職員は人的な財産である」。
 注目すべきは、「優れた教職員」と記述された点である。組織の構成員として、自覚と責任感を持って大学の発展や教育サービスの充実・向上に取り組む資質と能力を備えた教職員が、想定されている。さらに、「学校法人の経営管理体制の確立のために、学校法人の経営者を適切に補佐するアドミニストレーター等の必要性が高まっている」とも述べられている。


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