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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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主体的な学習に必要なのは「学びが面白い」と気づくこと

 教えてもらうことに慣れ、「主体的に学ばない高校生」をどのように大学での主体的な学びに「適応」させればよいだろうか。
 「主体的な学習を促すためには、まず、学習への『動機付け』が必要ではないだろうか。例えば、英語を学ぶ意欲が高い学生は多くいる。英語を学んで将来こうなりたいという目標が、学習するための動機付けになっているといえる。一方、哲学書を読もうとする学生を、最近はすっかり見かけなくなった。学ぶための動機が十分ではないからだろう。本来、大学は哲学のような自発的に身に付ける学問を通して、幅広い知識を身に付ける場所のはず。大学卒業程度の知識や学力を身に付けさせるには動機付けが必要だと思う」(耳塚教授)
 では、その動機付けにはどのような方法があるだろうか。
 「学生に『学びが面白い』と実感させる『気付き』を与える指導を積極的に取り入れてはどうか。学びとは本来面白いものであり、そこに気付かせることは『そこそこでよい』という価値観を変えるきっかけにもなるだろう」
 耳塚教授は次のようにも話す。
 「学生は驚きや発見を通して、学びの面白さに気付くようになる。大学は『知』が集積する場であり、学び続けることで驚きも発見も見つかるはず。つまり、知識が生まれる過程にこそ驚きや発見があるのだから、始めから結果としての知識を教えても面白くはない。大学は『知』を生産する場でもある。その場が脅かされていることを大学には知ってほしい。また、高校も同じような問題を抱えているようだ。従って、この問題を解決するには、高校・大学のそれぞれが学びの面白さを発見させるという教育が大切ではないだろうか。その結果、生徒・学生は主体的に学ぶようになるだろう」


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