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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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企業の切実な課題に学生が真剣に取り組む

 採択された武蔵大学のプログラムは、PBL(企業等から与えられた課題を解決していく問題解決型授業)と呼ばれ、東京商工会議所の会員である情報関連企業3社から出された課題に、経済・人文・社会学部の学生が学部混合チームを結成して取り組む。
 3社に共通しているのは、「採用活動において、中堅情報関連企業と文科系学生の間により良いコミュニケーションを構築するための課題と対策」をテーマとしていることだ。これをベースに、(株)ビッツは「文科系学生の採用に関する効果的な母集団(説明会に参加したり、企業資料を請求したりする学生の集合)の形成」、(株)大崎コンピュータエンヂニアリングは「文科系学生に対する効果的な採用面接の方法(例えば、どのような質問によって企業の知りたい学生に関する情報を学生から引き出せるのかなど)」、インターワイヤード(株)は「文科系学生にも十分に訴求力のある企業ウェブサイトの構築(専門知識がなくても、企業の事業内容等を理解できるための工夫などを行う)」という個別の課題が設定された。
 課題設定に際して最も考慮したのは、企業が実際に抱える問題を提供してもらうことだ。「企業と連携して学生が課題解決を図る授業を見ると、大企業は学生の回答にあまり期待していない傾向がある。一方、中小企業の場合、企業がすぐにでも解決したい課題が多く、互いに真剣になれるようだ。企業が真剣にならなければ、学生はプレッシャーを感じられず、学習は深まらない」と、高橋教授は指摘する。
 中堅の情報関連企業は、大企業に比べて知名度が低く、事業規模が小さいため、採用活動で厳しい戦いを迫られていることが多い。さらに、文科系学生を採用する意思はあるものの、理工系学生の採用活動で手一杯になっている企業が多いという。こうした点で文科系学生の採用活動に関連する今回のテーマは、企業にとって非常に重要な課題といえる。学生にとっても、就職は最大の関心事であり、意欲的に取り組むだろうというねらいもあった。


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