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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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公設民営の大学設立 東北公益文科大学

「公益」の精神をベースに
地域に開かれた大学づくりを目指す

東北公益文科大学は、山形県および同県庄内地域の市町村が出資して設立した公設民営方式の大学だ。
社会に広く役立つことを意味する「公益」の精神を基盤に、地域と密着した数多くのフィールドワークや活発な学生の課外活動を通して、「地域に開かれた大学」として、独自の文化をはぐくんでいる。

公益の精神に根差した「大学まちづくり」に向けて

 東北公益文科大学は、2001年に山形県酒田市に開学した。同大学の特色は大きく分けて3つある。
 一つ目は、山形県と酒田市・鶴岡市をはじめとする庄内地域14市町村(当時)が創設費を負担して設立した公設民営方式の大学であること。二つ目は、広く人々や社会のためになることを意味する「公益」について幅広い観点から学ぶ、日本唯一の「公益学部」を置く大学であるということ。三つ目は、地域の人々と学生が一体となって、「地域づくり」「環境づくり」や大学と市民の協働による「大学まちづくり」を目指していることだ。そのため、「大学がどのような文化をはぐくんでいくべきか。その方向性は開学当初から示されていた」と、公益学部長の大歳恒彦教授は語る。
 「庄内地方には、本学が設立されるまで単独の4年制大学がなかったこともあり、『地域に根差した大学』への期待が高かった。このため、地域の方々は全面的に大学を支援してくださっている。実際、学生と一緒に何かをやりたいと、多くの声をいただいている。開学時に学生がサークルや部活動を始めた際も、積極的に地元の人が顧問やコーチにと手を挙げてくれた」
 学生は、国内初の公益学が学べる大学ということで、「社会のため、人のために役立ちたい」という強い思いを持って入学してくる。学生と地域の思いが合致しているというわけだ。
 「本学は当初から、公益の精神に根差して、大学やまちづくりを地域の人々とともに行っていくという、大学文化の創造を目指していた。従って開学後は、大学と地域がどのように連携を取りながら文化を育てていくかが課題となった」(大歳教授)
 その目指すべき大学像を象徴しているのがキャンパスだ。「大学づくりはまちづくり」を合言葉に、門も塀も設けていない。カフェテリアやメディアセンター(図書館)は地域の人々にも開放され、地域に開かれた大学の在り方の一端を示している。

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