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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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「教育コーディネーター」が一貫性構築の担い手

 ポリシーの策定、一貫性の構築を円滑に進めるためには、各学部の意見集約、他学部との調整などを統括する組織の整備が必要だ。
 同大学では、全学が一体となって教育改革を推進するために独自の「教育コーディネーター制度」を導入している。学部・学科の教育責任者として教育方針の立案、カリキュラムの編成、教育内容・教授法の改善、教育効果の検証などを担う「教育重点型教員」だ。学科や教育コースごとに最低1人が配置され、現在63人がその任に当たっている。
 3つのポリシーの一貫性構築においても、教育コーディネーターの果たす役割は大きい。2007年度には、教育コーディネーター全員を対象に、3つのポリシーの一貫性構築をテーマとした研修会(全5回)を実施した。DPの策定、CCLの活用に関するシミュレーション、山口大学などの先行事例の研究などを行い、各学部の取り組み状況の共有も図った。

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学部・学科ごとにDPを策定するためのワークショップの様子。教育コーディネーターが学部・学科ごとに集まり、DPについて検討・議論をした。

 各学科・コースにおけるCCLの集約やカリキュラム調整も、教育コーディネーターの役割だ。柳澤理事は、「カリキュラムを統一的な視点から俯瞰(ふかん)できるようになったのは大きな前進」と評価する。
 3つのポリシーの一貫性構築により、教育重視の姿勢をアピールする愛媛大学。だが、それが学生の個性を枠にはめるものにはしたくない考えだ。
 「個性も嗜好も異なる学生を画一的な尺度で測ることは、学生の可能性を狭める結果になりかねない。一人ひとりの個性を伸ばしながら、本学のめざす教育を実現するために必要なポリシーと教育カリキュラムはどうあるべきか、今後さらに議論を重ねていきたい」と、柳澤理事は抱負を語った。

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CCLの作成研修の様子。教育コーディネーターは、自分の担当授業について、授業の目的や到達目標をリストに書き込み、具体的なイメージをつかんだ。


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