大学の目的である教育、研究、社会貢献のうち、入学してくる学生にとって最も重要なのは教育である。入学した大学で自分を最大に成長させることを願っているはずである。大学はそのこと、すなわち最良の大学教育(エクセレンス)を可能にするために、あらゆる努力をして、人的・物的および精神的環境をつくることが、今、最も重要なことなのではないだろうか。私はそれを「最良のアカデミックキャンパスづくり」と表現したい。それは、どのようにすれば可能なのであろうか。
大学には学問研究の自由が保障されている。大学はあらゆる物事の存在意義を問うことのできる存在である。それを自分自身に向けて、以下のような自己点検・自己評価を行い、最良を追究すべきではないか。
すなわち、現在の大学のカリキュラムは最良の教育を可能にするものとなっているのか、現在の大学の授業は最良のものとして行われているのか、授業では学生は目を輝かせて前の方の席で学んでいるのか、学生が最適に学べるように授業クラスの人数は制限されているか、教員は学生の知的探求に応えられるように応答をしているか、そうしたことを可能にするための人的・制度的組織はなされているのか――などなど。
こうして最良のあり方を常に追究するときに、「最良のアカデミックキャンパスづくり」が可能になるのではないだろうか。それは理想論であり、抽象論かもしれない。しかし、そうした最良の教育を提供できるという自信なくして、どうして意味のある学生募集と入学者の選考が可能になるであろうか。
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