最初に認定大学のリストを公表したアクレディテーション協会の基準は、10項目の簡潔なものだったが、度々の改正の末、数量的な基準がふんだんに盛り込まれた、詳細かつ厳格なものへと変わっていった。
　ところが、改正が進むにつれ、アクレディテーション基準に対して、硬直的であり、大学を標準化するものであるという批判が起こり、基準の抜本的な見直しが行われる。その結果、数量的な指標は一切持たず、長所は欠点をカバーするという姿勢を持ち、大学の個性を尊重する評価方針をとることになった。そのために、大学自身が定期的に問題点を抽出し、それを調査研究した結果を報告書にまとめるよう、大学に求めることとなった。
　今から70年以上も前に、アクレディテーションは、画一的な基準の適用をやめ、大学自らが調査した結果を評価するという道を開いたことになる。これが、世界の多くの国で取り入れられているセルフスタディ（自己点検・評価）の原点である。
　このようにアクレディテーションは、大学の自律的な活動として発展した制度である。

　第二次世界大戦後、復員軍人が大学に復学する際に、連邦政府が奨学金の支給対象として指定したのが、アクレディテーション協会の認定校であった。この時から、アクレディテーションに奨学金という極めて現実的なメリットが結び付いた。
　現在では、連邦教育省の長官によって承認されたアクレディテーション協会が認定する大学に入学する学生に、奨学金が貸与される制度になっている。このメリットがなければ、アクレディテーションが定着したかどうか分からない。そしてこのメリットこそが、アクレディテーションの課題を生んでいる。
　連邦政府は、法律上、大学に対して直接的に関与できない。そこでアクレディテーション協会を承認するための規則で間接的に大学の質保証にかかわっている。民間団体の行う認定結果を根拠として公的資金が支出されるのだから当然ともいえるが、近年、連邦政府は、アクレディテーション協会に対し、教育成果の評価を重視するよう要求を強めている。
　アクレディテーション協会は、連邦政府の圧力に対処しつつ、大学の多様性と自主性をも尊重した評価を行うために、以前よりもデータや証拠（evidence：データでは示せない活動実績など）の提出を大学に強く求めるようになってきた。
　ある協会では、定型様式で求めるデータは、財政、学生数、教員数、教員の給与に関するものだったが、2010年からは、基準の各項目に必ずデータを添付させる方向で様式の改訂を予定している。この協会では、大学はまず、データと証拠を収集すべきだと強調している。なぜなら、それがセルフスタディを始めるための論理的な根拠となるからである。セルフスタディ・レポートに、基準に適合していることを証明し、大学の現状を反映したデータや証拠が記述されていれば、評価者は証拠探しに躍起にならずに済み、合理的でもある。