特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
  PAGE 14/39 前ページ 次ページ

CASE1 教養・専門教育への吸収

キャリア教育の体系を解消し
学士課程教育全体で意識を涵養

武蔵野大学


武蔵野大学は9年前にキャリア教育に着手し、教育プログラムの体系化、専任教員の参画と、段階的に取り組みを深化させてきた。
2010年度のカリキュラム改革において、「キャリア教育」の枠組みを発展的に解消。学士課程教育全体でキャリア教育を推進する。

「就職率向上」から「生き方指導」へ

 武蔵野大学のキャリア教育の変遷は、3つのステージに分かれる。
 第1ステージは、プログラム整備とノウハウの蓄積の段階だ。2000年度に4つの「キャリア開発科目」を正課科目として開講。2002年度にキャリア開発科目を体系化して10科目とし、資格取得支援・就職支援を加えた総合的なキャリア支援体制を確立した(2003年度の特色GPに選定)。
 2006年度には、それまでの「就職率向上」ではなく、職業人・社会人として自分らしく生きるためのスキルや考え方の涵養が主たる目的となった。このコンセプトに沿ってキャリア開発科目群の体系を再編し、現在につながる施策を導入した。
 第2ステージは、専任教員によるキャリア教育実践の段階だ。それまで、キャリア開発科目の多くは、外部講師が担当していた。その過程で確認したキャリア教育の意義や、培ったノウハウを全学に浸透させるため、2007年度から、キャリア教育を専門としない専任教員がキャリア教育を担当した(同年度の現代GPに選定)。
 2008年度は、全10学科(当時)で各1人の専任教員が「キャリアデザイン」(全15回)を1、2回ずつ受け持った。この授業は、それぞれの専門分野と関連付けて、または教員自身のキャリア形成について話すことによって、生き方を考えさせる内容とした。例えば、文学部日本語・日本文学科の教員は、「文学者の社会経験に学ぶ」と題して、自分自身が教壇に立つまでの紆余曲折を語り、さらに、活躍中の作家がデビューするまでの経験を話して、社会経験の重要性を説いた。
 キャリア開発部長の洞口(ほらぐち)光由准教授は、「学生にとって遠い存在だった教員が身近に感じられるようになる」と、「キャリアデザイン」を評する。実際、アンケートでは8割以上の学生が、「キャリアデザイン」への取り組みや満足度について肯定的な回答を寄せている。

  PAGE 14/39 前ページ 次ページ
目次へもどる
大学・短大向けトップへ