特集
坂井東洋男

坂井東洋男学長

さかい・とよお

◎京都大学大学院文学研究科修士課程修了。京都産業大学外国語学部教授、同学部長などを経て現職。大学コンソーシアム京都副理事長、日本私立大学連盟理事などを歴任。主な著書に『現代中国』『芥川龍之介と魯迅』など。


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学生に自信を与える改革を推進

京都産業大学

坂井東洋男学長

 2002年の学長就任以来、さまざまな改革を行ってきた。本来、元気な大学のはずだが、少し上品になり過ぎたように思え、この大学を元気づけたいという意識があった。
 2005年に創立40周年を迎えた。この時、創立50周年をにらんでグランドデザインを策定した。一番のポイントは、教職協働で策定を進めたことだった。全教職員からアイデアを募集し、将来構想委員会や作業部会に職員を配置した。教員に不足している部分を職員がうまく補っている。現在は、各学部長の補佐として職員を配置し、さらに教職協働をしやすい体制を整えた。学長補佐の職員には、教授会での発言権を与えている。
 2006年には、グランドデザインに基づくコミュニケーション・スローガン「POWER UNIV.」を制定。あらゆる局面で必要となる多様な力(POWER)を表した。
 本学の建学の精神は、「大学の使命は、将来の社会を担って立つ人材の育成」だ。学生には、壁にぶつかってもへこたれずに乗り越える力が求められている。開学当初は、根拠はなくても自信を持つ元気な学生が多かった。今の学生が自信を持ちづらいとすれば、受験時の偏差値があるからではないか。偏差値が低い者は高い者に勝てないと考えてしまう。しかし、それは違う。
 そんな誤解を払拭するために、「サギタリウス・チャレンジ」というプログラムを実施している。4つの部門を設け、学生のさまざまなチャレンジに奨励金を出して支援している。2009年度には、失敗談が応募の対象となる「グッド・トライ部門」を新設した。
 「これらの大学改革は何のために行うのか」と問われれば、「卒業生が胸を張れるようにするため」と答える。在学生はもちろん、卒業生は大学の財産だ。卒業生が誇りを持てる母校であり続けたい。

パネルディスカッションから

Q 学内のコミュニケーションを円滑にするため、どう工夫しているか。

A 教員の定年の引き下げなど、難しい課題であるほど、全学説明会を何度も開いて説明を尽くす。「聞いていない」「知らなかった」という声が上がることもあるが、根気強く説得する。そのうえで、組織として決定したことは撤回せずにやり通すという強い意志が大切だ。


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