特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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CASE1

創立者の理念で結ばれた母校と同窓会の
学びの相互支援


日本女子大学

◎日本女子大学の卒業生組織「桜楓会」は、強力なネットワークにより母校支援と社会活動を展開している。その原動力は、生涯学習や社会貢献といった創立者の理念だ。女性ならではのライフスタイルに対応する形で組織化が進み、大学も卒業生の学び直しを支援する。

単なる仲良し会ではなく 社会還元の場

 「単なる卒業生の仲良し会ならつくる必要はない。卒業後も学び続け、学んだことを社会に還元するような活動をめざす同窓会なら、設立を許す」
 1901年に創立された日本女子大学の前身校の1期生が、在学中に同窓会設立を準備していたところ、創立者の成瀬仁蔵はこう告げたという。1904年にできた同窓会組織「桜楓会」の初代会長に就任したのは成瀬自身。もともと、成瀬がめざしたのは「女子教育」だけではなく、女性の自立による「社会改革」だ。女性の自立に向けた生涯学習とその成果を生かす社会貢献といった成瀬の理念を、母校と共に実践する組織として同窓会は出発した。
 2001年に定められた「社団法人日本女子大学教育文化振興桜楓会」という正式名称も、こうした成り立ちを表している。学長が同窓会会長を務め、同窓会理事長が日本女子大学の理事となることが、双方の規約で定められていることも、大学の教育と同窓会の運営の理念が一体化していることの表れといえよう。
 同窓会は設立以来、1913年の託児所開設、1923年の関東大震災救援活動など、対外的な活動を積極的に展開し、100年以上たった今も、成瀬の理念を色濃く反映した事業を続けている。生涯学習実践のため、「桜楓学園」で独自の教養講座を開設。2009年度は、文学・文芸、伝統文化などの分野で15講座が開かれている。「成瀬先生研究会」は月1回の会合を続けている。
 また、社会的な活動にも積極的だ。同窓会設立と同年に開設された実業部は生活協同組合的活動を展開しており、現在は大学内で書籍、文房具や食品などを販売している。1974年に発足した「人材銀行」では、卒業生に就職情報を提供している。口コミで企業や他大学に評判が広がり、常勤・非常勤を問わず多数の求人案件が寄せられている。

同窓会年間行事予定(2009年度)

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