大学の競争力とは、教育機能の面で見れば、結局のところ、有用な人材をいかに社会に送り出すことができるか、そしてそれが学生や産業界、行政にどの程度認知されるかということに尽きる。
大きな変革期には、理事長や学長をはじめとする経営陣の果敢な意思決定が重要である。この点に関連して、多くの大学から、教授陣の合意形成の困難さが改革の壁だと聞くが、そうした中でも、教育の変革を成し遂げている大学では、現場の教員と職員が対等のメンバーとしてプロジェクトを企画し、推進している例が目につく。
また、教学担当と経営担当の副学長同士が机を並べ、常にディスカッションできる環境を整えている大学や、学部長の補佐として事務職員出身の幹部が配置されている大学もある。組織のあらゆる階層、場面において、教員と職員が協働するしくみを整備することによって、学内に改革に向けた一体感が生まれる。そして、学長をはじめとする経営層のリーダーシップが組織の末端まで通じ、改革がスピーディーに進むのではないだろうか。
ポスト2012年に向けて、残された時間はそう長くはない。「危機をチャンスに変える」とは、企業戦略上よく唱えられるフレーズだが、改革を主導する学長の適切な状況認識と戦略、リーダーシップとマネジメント能力が、成功に向けた最大要因であることはいうまでもない。 |