特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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税金の投入を受ける公的機関の説明責任

 なぜ今、情報の開示が必要かという問いに対し、中教審は、「公的機関としての社会的説明責任」や「(国際)教育力の向上」を挙げている。国立大学には年間1兆2000億円、私立大学には3000億円超もの国費が投入される。加えて法人税が免除され、大学に対する寄附金は法人税・所得税法上損金扱いされるなど、税制上の優遇措置が認められている以上、財務や経営に関する基本情報を国民の前に明らかにすることは当然であり、最低の義務である。
 教育情報に関しても、教育・研究(地域貢献・先端または地域医療)を使命とする大学が、何をめざし、それをどのように実現しようとしているか、さらに、教育・研究の具体的な成果は何か説明することは、当然と考える。
 これらの情報が明らかにされ、きちんと説明されてこそ、納税者は貴重な税金を大学に投資することに理解を示したうえで、子弟の教育を大学に託し、卒業生を次代の戦力として採用するのである。
 にもかかわらず、大学は、財政上、税法上、社会的な特権を享受する一方、情報開示に極めて消極的であり、しばしば敵対的ですらあった。例えば、入学者の定員割れや財政状況の悪化を示す情報、高額の教職員給与や学内で起きた不祥事に関する情報など、大学にとって都合が悪いと思われる情報を自ら進んで公表することはほとんどなかった。


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