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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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2010年度入試の実相

 2年連続のセンター試験難化から始まった2010年度入試。図表5は、出願変更を余儀なくされた受験生が多かったと予想される理系学部における出願先変更パターンのイメージをまとめている。
 平均点下降に伴い、国公立大学の農学系統から理学系統へ、さらに地元志向を反映して一定数の教員養成・教育学系への志願者の流れが推測される。一部の受験生は、工学系統への出願変更もあっただろう。
一方、国公立大学の工学系統の受験生はセンター試験の得点の伸び悩みから、私立大学の併願先を増やすか、安全校(合格可能性の高い大学)を選択するケースも多かったのではないか。
 首都圏の私立工学系単科大学では志願者が増えているが、これは「国公立大学工学系統からの併願者の流れが増加」した点と、「私立大学専願者の中で、さらなる安全校を増やす」流れの2つが考えられる。

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図表5:センター試験の平均点ダウンに伴う、理系学部における出願先の変更パターンのイメージ

 図表5は2月時点の志願者状況からイメージしたものであり、実際の志願者の流れはデータに基づいて検証されなければならない。6月以降の入試結果調査に伴う分析で検証する予定である。
 2010年度入試の志願者総数は、若干増加すると考えられる。さらに、保護者の気質変化、経済状況、受験生の意識変化などをふまえると、「地元志向・安全志向」は次年度以降も継続するものと思われる。ただ、近年は、過度の安全志向から、隔年現象も顕著になっている。
 2019年には再び18歳人口の減少期に突入する。今回の志願者動向において、エリアマーケティング分析(高校の個別事例など)を深める視点がさらに必要になるだろう。入試・広報戦略の中長期計画の策定が求められるタイミングにある。
(教育情報センター チーフディレクター 飯塚信)


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