特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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教育の中に位置付けた入試改善の議論が必要

 入試の検証は多岐にわたる。限られた経営資源で効果的な検証を行うためには、制度導入時に明確なゴールを設定し、導入後の成果の測定方法も、学内で合意しておく必要がある。そのうえで成果を精緻に検証し、改善サイクルを継続し、ゴールに着実に近づくことが重要である。
 現実には、志願者の増加をゴールにAO入試を導入する大学もあろうが、その場合でも、志願者集めに走り、受験者側の信頼を損なえば、ゴールがかえって遠ざかる。従って、常に中長期的な視点が重要になる。
 入試は、教育の一環として位置付けられる。すなわち、入試制度の評価は、大学教育全体をいかにマネジメントするかという議論の中で扱われるべきであり、決して入試だけを切り取って議論すべきではない。
 大学が持っている経営資源、ブランド力も含めた大学に対する受験者側の評価、高校と大学との信頼関係、立地も含めた環境や相対的なポジショニングは、入試制度の評価の重要なバックグラウンドとなる。これらを精緻に分析し、理解したうえで、入試制度のゴールが設定され、制度の詳細が検討されるべきである。そして、広報手段も含めた入試実施までのプロセスを策定し、実施後の成果を検証して次へのステップを確実に上らなければならない。
 その意味で、入試制度に責任を持つ大学のトップマネジメントのリーダーシップは、極めて重要である。


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