進む高校の特色化

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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県の取り組み事例

非常勤講師配置できめ細かい指導 茨城県

 茨城県の特色化支援策の一つは、「高等学校学力向上推進事業」だ。生徒一人ひとりに応じたきめ細かい指導を実践するため、学力指導法の研修のほか、チームティーチング(TT)や少人数授業を実施できるよう、指定校に非常勤講師を配置する。
 10の指定校のうち5校は、「大学ジャンプアップスクール」として進学に重点を置き、発展的な学習に力を入れる。残り5校は「学力向上ステップアップスクール」として基礎学力の向上を目指し、補習的な学習に力を入れる。県内トップクラスの高校で進学希望者のニーズに応える一方、他校を中退して入学する生徒がいるような高校も支援し、学習意欲の向上などに取り組む。
 「大学進学率の向上だけではなく、多様な学力層の高校を支援している。県全体の学力向上を狙いとする教育委員会の指針がよく分かる取り組み」(飯塚氏)。
 非常勤講師の活用法や担当科目は各校が課題に応じて自由に決められる。大学ジャンプアップスクールでは数学・理科・英語、学力向上ステップアップスクールの高校では国語・数学・英語の、それぞれ3教科を担当させるケースが多い。指定期間は04年度から06年度の3年間で、経年変化の分析も実施している。

具体的な目標と内容をHPで公開 広島県

 広島県は、希望する大学への進学を確実に実現できる指導体制を確立するため、進学指導の実践的な研究を推進する高校を「進学指導重点校」「進学指導拠点校」として支援している。学習合宿や大学教員等による模擬授業の実施、大学入試問題の分析・研究など、学力向上と進学指導に関する取り組みが中心だ。
 進学に特化して支援している背景には、「98年度まで総合選抜制だったため、どの高校でも学力格差が大きく、学力向上対策と進学指導がうまくかみ合っていなかった。そのため、学力の高い生徒は私立高校に流れ、公立高校の大学進学率は低迷していた」(飯塚氏)ことが挙げられる。
 指定校は毎年見直し、05年度は進学指導重点校15校、進学指導拠点校5校となっている。指定校は、「国公立大合格100人以上」など具体的な目標を掲げ、それを達成するための取り組みを詳細に計画、HPで公開しているのが大きな特徴だ。


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