因子別に、力の付き方を検証する。
「異文化コミュニケーション力」では、「学業充実群」の割合が高く、「大学エンジョイ群」でも、ある程度は身に付いていることが分かる。最も低いのは「入学後失望群」であり、大学での外国語学習に全く興味を示していないことがうかがえる。
この「異文化コミュニケーション力」とほぼ同じグラフを描いているのが、「大学学習効果」である。「異文化コミュニケーション力」の育成には外国語教育が不可欠であることを考えると、「大学学習効果」と同じ傾向が見られるのも当然だろう。
これら2つのグラフから、初年次教育の重要性がうかがえる。
「学生を最初に失望させないことが肝心。特に、学習面での失望は取り返しがつかない可能性がある。『不本意入学後奮起群』にも、成績上位層が一定割合で含まれているはずだが、大学学習効果は非常に低い。第1志望であることは、大学での活躍を促す重要な要素であるようだ」と、木村助教は指摘する。
木村助教が興味深い点としているのは、「対人関係構築力」が「異文化コミュニケーション力」「大学学習効果」と同じ様相を見せていること。「大学では、教員やほかの学生とコミュニケーションを取りながら学習を進めるためではないか」と話す。
「大学エンジョイ群」の高偏差値者の層の帰属確率に伸びがないことから考えると、「対人関係構築力」だけが身に付くのではなく、ほかの力と一緒に伸びると考えられる。
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