今後の課題は、若い卒業生に同窓会活動への参加をいかに促していくかにある。企画推進委員会委員の一楽真教授は「本学の学生にはもともと、寺院関係者やその子弟が多かったが、今は関西圏以外の一般の家庭からも多数入学するようになった。卒業して地元に帰っても同窓会支部に入りたがらない人もいる。年配の卒業生とのギャップを埋め、共同して活動を推進できる体制を整えていきたい」と述べる。
1996年に導入した「ゼミ・クラス連絡委員」の制度は、そのための布石だ。卒業時に、指導教員がゼミやクラスごとに1、2人の連絡委員を指名する。同期会やホームカミングデーなどの同窓会活動や、大学との連携の中核となってもらう制度だ。
学内に拠点がある同窓会本部が連絡委員のデータを一元管理し、同期会開催の知らせが事前にあれば、同窓会から通信費を補てんするなど、ゼミ・クラス単位の継続的な交流を後押ししている。
大学側は今後、同窓会との情報交換がいっそう重要になると考えている。「八十講で全国を回ると、支部の会員から『定員割れはしていないか』『新学科ができたが学生は集まっているか』といった声を聞く。会報やホームページで情報提供はしているが、同窓会員が聞きたがっているのは、大学の本音の部分。大谷大学はどのような方向に進み、全国的な大学危機の時代をいかに乗り切ろうとしているのかという点に関心がある。教員と同窓会員が直接顔を合わせる八十講の意義は、今後ますます大きくなるだろう」と織田教授は述べる。
大学と同窓会が本音で意見を交わす場をつくることが、両者の絆を深め、大学を発展させるといえる。
|