今回のテーマは、教員のICTへの関わり方について、調査結果からみていくことである。「ICT活用度」という点から、教員のICTへの関わり方をみていくことにしたい。現在、ICTを活用している教員の特徴について、あまり活用していない(=未活用)教員との比較を中心に明らかにしてみたい。最後に、調査結果を踏まえ、今後の活用に向けて何が必要なのか、私見を述べる。
今回、分析したデータは、2013年10月に、全国の小・中学校の教員を対象とした「ICTを活用した学びのあり方に関する調査」である(注1)。
注1)報告書では、項目によって「一般校」と「実践校」を分けて分析しているが、今回は両校を含めたデータとして再分析した。
ICTを活用して現在取り組んでいること(全19項目)について、各回答を得点化した。その合計得点を3つの区分(「高活用(35-76点)」「中活用(27-34点)」「低活用(19-26点)」)に分けたものが、ICT活用度である(注2)。報告書では「高活用」「低活用」の比較がなされていたが、今回は「中活用」も含めて、報告する。
注2)詳細は、報告書5ページを参照。
まずは、教員の基本属性別に3つの区分の構成割合をみてみよう。図1が、小学校、中学校それぞれの性別、年齢別、役職の有無別、担任学年の有無別の結果である。要約すると、小学校に「高活用」の教員が多く、中学校に「低活用」の教員が多い。男性に「高活用」の教員が多く、女性に「低活用」の教員が多い。30代・40代に「高活用」の教員が多く、20代・50代に「低活用」の教員が多い。役職者に「高活用」の教員が多く、役職のない者に「低活用」の教員が多い。担任学年が高学年になると「高活用」の教員が多く、低学年では「低活用」の教員が多い。教員の属性によって、ICTへの関わり方が異なっていることがわかる。
ICT活用区分別に校内でのPC使用時間(一日の平均)をみたものが、図2である。小学校、中学校ともに、「低活用」の教員の使用時間が短く、「高活用」の教員が長い。PC使用時間とICT活用度のどちらが先なのか因果関係は不明であるが、相互に関係があることがわかる。
ICT活用区分別に授業への取り組み年数をみたものが、図3である(注3)。「低活用」の教員は「分からない」もしくは「まだ取り組んでいない」という回答が多く、授業にICTを活かす機会は低い。一方、「高活用」の教員は「2年~3年未満」「3年~5年未満」「5年以上」という回答が多い。ICTを活用していくためには、教員が時間をかけて取り組む必要がある。
注3)「分からない」は図から省略した。
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