「貧困が引き起こす子どもの就学・進学問題」
支援の現場を訪ねて
〜社会課題への対応の中で生まれるもの〜

「子どもの貧困」に学習支援という形でひとつの解決策を実行しているキッズドアの学習支援活動「タダゼミ」の教室を訪問しました。

明るい教室で学ぶ子どもたち

CO-BOフォーラムの数日後、杉並区の地域交流センターを借りて行われていたキッズドアの学習支援活動「タダゼミ」の教室を訪問した。 教室の雰囲気はとても明るく、この日の講師役の大学生スタッフは独特の鹿児島弁を武器に、冗談を交えながら英語の長文読解の授業を進めていく。訪問時は受験支援が始まったばかりであったため、英語そのものというよりも、まずは公立高校を受験するにあたり問題構成や出題傾向についての解説が中心。これまでいわゆる受験対策というものに触れてこなかった子どもたちに対して、「今はまだ分からなくても大丈夫だから」と繰り返し語りかけているのが印象的だった。

7人の子どもの横にはマンツーマンでサポートスタッフがつき、個別の質問対応に備えていて、みなリラックスして授業に参加しているように見える。講師による講義後にはサポートスタッフが子どもたちの疑問点に個別に対応する時間が設けられる。サポートスタッフからの語りかけもあり、この時間は教室はとても賑やかになる。 スタッフは大学生や若手社会人の他にもベテラン社会人の姿も見えて非常に多様だ。全員ボランティアで活動に参画している。

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授業プラン作りは社会人や大学生が協働して

お話を伺ったのは、それぞれ5年以上この活動に携わっている山本さんと大関さん。教育企業(※)で働いている山本さんは、社会人になってから週末に参画できるキッズドアと出会い、今は運営マネジャーとして活動している。一方、大関さんは大学3年生のときにキッズドアに出会い、修士課程を経て、この春半導体メーカーに技術職として就職。現在は職場がある福島県から不定期で上京しながらキッズドアの活動をサポートしている。

杉並区での授業は月に2回、つまり2週間ごと。いわゆる学習塾と比べると頻度は低いように見えるが、ボランティア中心の体制ではその準備期間に余裕があるわけではない。 まず1週目の平日の夜、授業展開や使用教材の案をスタッフが検討し、金曜日までに山本さんにメールで提案する。山本さんが週末を使ってコメントを返し、スタッフが2週目の平日にブラッシュアップを重ねてその週末に授業に臨む。このサイクルでの活動をずっと続けているのだ。

※ 取材中、山本さんの勤務先がベネッセコーポレーション(現在はグループ会社に出向中)であると判明。

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子どもたちとともに成長するサポートスタッフ

教室の明るい印象は、まずは子どもたちが教室に来ること自体を楽しめるように、スタッフがさまざまな工夫をこらしているからこそ、実現できているのだと山本さんは言う。

さらに山本さんはスタッフのモチベーションが子どもたちに大きな影響を与えると考えており、スタッフ個々人に仕事と役割を与え、スタッフの育成にも熱心に取り組んでいる。

最後に、お二人にキッズドアの活動を通して得たことは何かを質問した。

山本さんは「私は子どもや学生の自己肯定感を高めたい、という思いを強く持っていました。それがキッズドアの活動で少しずつでも実現できているように思えるんです。そして活動そのものを通して、まだ若い私がスタッフのマネジメントについて学べることも非常に価値があると考えています」と語ってくれた。

大関さんは「今の職場は組織としても大きいので、企画提案から実行までのプロセスすべてに関わることは難しいんです。でも、キッズドアの活動ならば、そのプロセスに関わり、自身の力で切り拓いていくことができるのが貴重な経験になっている」と答える。

キッズドアの活動は、子どもの学習支援が第一義ではあるのは間違いない。しかし、そこに参画するサポートスタッフたちも、職場や大学では得がたい経験や出会いを通して、ともに学び、成長しているように見えた。

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【企画・取材協力、執筆】(株)エデュテイメントプラネット 山藤諭子、柳田善弘

【取材協力】特定非営利活動法人キッズドア

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