「子ども・子育て支援新制度」(以下新制度)が2015年春より施行(予定)され、都市部では待機児童の解消が進むと予想されます。今回は新制度が家庭や園に与える影響について、無藤隆先生、大豆生田啓友先生に解説していただきます。
2015年春からの「子ども・子育て支援新制度」の施行(予定)により、次のような影響が予想されます。
などです。
現在、少子化の原因の一つに子育てしにくい環境ということが言われています。その理由として、保育の「質」(保育者不足など)と「量」(待機児童問題など)が足りないことが挙げられます。そうした中で、すべての家庭が安心して子育てでき、育てる喜びを感じられるために始められるのが今回の新制度です。
新制度の内容は大きく次の4点、① 幼稚園・保育所双方の良いところを併せ持つ「認定こども園」の普及、② 保育の場を増やし、待機児童を解消、③ 保育の質の向上や子育て支援の拡充、④ ①~③の対応を地域事情を踏まえて実施、です(詳しくは、内閣府の「子ども・子育て支援新制度 なるほどBOOK」 参照)。
※ 内閣府「子ども・子育て支援新制度 なるほどBOOK」等をもとにベネッセ教育総合研究所が作成。
新制度は来年度から5年間を一つの区切りとして計画されています。今後5年で保育施設の拡充などの、「量」の整備によって、待機児童がゼロに近づくでしょう。また、認定こども園(以下こども園)は新制度の一つの柱で、今後は園制度の主流となっていくと思います。
また、待機児童が減ることにより、どの園に入るかを保護者側が選択できるようになるでしょう。それにより、便利さ(家から近い、給食があるなど)と共に、保育の質(教育内容など)もより問われるようになるかもしれません。園側も特別な教育カリキュラムの導入や、小学校以降の教育に役立つことをアピールするなど、さまざまな特徴を出していくと思います。外部評価を公表する園も増えるかもしれません。どのような取り組みをするにしても、今以上に保護者への説明責任が問われるでしょう。
とかく共働き家庭のための施策、つまり待機児童の解消が注目されがちな新制度ですが、子育て支援サービスの拡充も一つの柱です。今後は0~2歳児を在宅で育てる保護者が集える場所が増えていくと思います。特にこども園は子育て支援の場をつくることが義務化されているので、施設が増加すればそれだけ子育て広場も増えるでしょう。
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