大学における「キャリア教育」は、この15年余りのうちに急激に推進されてきた。その成果として学生の就職状況を挙げる大学も多いが、「キャリア教育」推進の本来の目的を鑑みれば、「卒業後、いかなるキャリア意識を形成しているのか。それが大学時代の成長実感といかに関連しているのか」といった観点から捉えることも必要ではなかろうか。
本稿では、大学における「キャリア教育」がいかにして推進されてきたかを確認的に概観した上で、「大学での学びと成長に関するふりかえり調査(以降、「本調査」とする)」に基づき、卒業生のキャリア意識と大学時代の成長実感の関連性に目を向けてみたい。本調査では、「23~34歳(以降、「若手層」とする)」と「40~55歳(以降、「シニア層」とする)」の2つの世代の卒業生を調査対象としている。大学教育改革のさなかに大学生であった若手層の多くは「キャリア教育」が大学に浸透している(しつつある)環境で大学生活を送り、それ以前に大学生であったシニア層の多くは就職指導中心の環境で大学生活を過ごしていたと思われる。2つの世代の卒業生のキャリア意識と大学時代の成長実感の傾向などから浮かび上がる「キャリア教育」の影響を推察し、今後のあり方についても考えてみたい。
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