シニア層の卒業生を対象とした上記の分析からは、大学時代の成長実感を強く持つ卒業生ほど、「キャリア教育」という名称や括りではないにせよ、大学時代のキャリア意識形成に寄与しうる機会や環境に能動的に関与していたことがわかる。
こうした傾向は、シニア層特有のものであろうか。若手層の卒業生を対象に、同様の分析を行った結果を示したものが図10から図12である。
シニア層同様に、若手層の卒業生においても、大学時代の成長実感とキャリア意識形成に寄与しうる機会や環境との関連性が明らかに示されており、大学時代の成長実感が強いほど、より能動的にこうした機会や環境に関与していたことがわかる。
特筆すべきは、大学時代の成長を「まったく実感しなかった」若手層のこうした機会や環境への関与の低さである。大学における「キャリア教育」が推進される中で、こうした機会や環境もシニア層の大学時代より豊かになっていたと思われる。しかし大学時代の成長を「まったく実感しなかった」若手層では、「進路や将来について積極的に考えた」かについて53.3%が「まったくあてはまらない」と回答し(図10)、「進路を相談できる教員や職員の数」について79.2%が「1人もいなかった」と回答し(図11)、「大学内の就職サポートの利用状況」について56.7%が「まったく利用しなかった」と回答している(図12)。
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