教育フォーカス

【特集33】大学教職員向けウェビナー「大学生の主体的な学びを促す授業・環境のデザイン」開催リポート

報告4 生徒を主体的にする探究活動の実践

廣瀬志保

山梨県立笛吹高等学校 校長
廣瀬志保

NHK甲府放送局キャスターなどを経て、教職の道へ。担当教科は理科(生物)。早くから高校での「総合的な学習の時間」の実践に力を入れ、数々の実践を展開。現在、日本生活科・総合的学習教育学会の常任理事。

 初めて「総合的な学習の時間」を担当した時、生徒の変容を見て、探究の面白さを知り、以来、勤務校での実践や先進校視察を重ねてきました。
 ある年は、「山梨の観光とおもてなし」をテーマに、県の観光振興課への提案をゴールとして活動しました(図4)。災害時の観光客の避難誘導について研究したグループは、武田信玄ゆかりの恵林寺にスポットをあて、避難所までの経路を検討し、景観に配慮した避難経路の看板を設置してもらいました。山梨とかかわりの深い『銀河鉄道の夜』に着目したグループは、星の観察を中心にしたツアーを企画し、観光振興課に採用されました。

【図4】単元:観光とおもてなしの探究プロセス クリックで拡大します

 これまで、探究活動を通して、生徒が主体性を発揮する姿をたくさん見てきました。中学校時代に保健室登校が多かったある生徒は、探究をきっかけとして意欲的に高校生活を送るようになり、大学で宇宙物理学を研究しました。
 ベネッセ教育総合研究所の調査結果では、コロナ禍が大学生の成長実感に影響を与えている(図5)そうですが、高校時代に探究を経験した卒業生からは、オンラインが盛んになった結果、県外・海外の人たちと交流しやすくなったと、ポジティブな声が聞かれます。
 一度、燃え上がったものがあれば、困難があっても充実した学びが継続できることを感じています。

【図5】成長実感(基調報告資料 21P) クリックで拡大します

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